7.流動期
さて、食事療法のみに切り替わってから数週間後。
生活面も食事面も何も変わったことはなかったのに、何故か血糖値が上がり始めた。
食事も運動も今までと同じようにしているのに、今までと同じ状態をキープできない。
その状況から今度は先生に、
「食べ過ぎじゃない?計算間違ってないか?運動不足じゃないか?」
と問われるようになって来た。
今思うに、先生も決して責めたてるつもりはなかったのだと思う。
でも日々真面目に、必死に努力している者にとっては、その問いかけはとても堪えられないことだった。
そして遂にある日、また薬を飲むことになり、その後何故かもうその薬も効かなくなり、そして再度インスリン注射を打つことになったのだ。
先生もその頃は常に残念な表情で、途中から何もおっしゃらなくなった。
このように、発病してから約半年間のここまでの流れ。
今になって思う。
実はあの食事療法だけでコントロール出来ていた頃は、1型糖尿病発症後間もない時期に見られるハネムーン期間ではなかったのか、(そういう時期があるタイプは急性発症1型糖尿病(※)と分類されるらしい)と。
または、緩徐進行型1型糖尿病(SPIDDM)(※)ではなかったのか、と。
あの頃(32年前)は、上記2種類のタイプの事例はまだまだ少なかった…?のか今やそれすらも定かではない。
また実は後々知ったのだが、当時かかった先生は、確かに糖尿病の専門だったのだが、その中でも2型糖尿病専門の医師だったのだ。
なので、特に小児によく見られるウィルス感染などが原因の劇症型のように、年齢的数値的にも分かり易い指標がない、私のようなどっちつかずの患者に対する治療法は、当時まだ見極めがしにくかったのかもしれない。
ただ、どちらにしても今言えることは、すべて過去の話。
結局私が急性発症型、又は緩徐進行型1型糖尿病(SPIDDM)という病名を聞いたのは、それから10年以上経ってからのことだった。
※1型糖尿病の種類 下記リンク参照
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