23.上京
3月下旬、ついに上京した。
ただ上京と言っても会社は東京の用賀にあったのだが、私が入った女子寮は、実は横浜にあった。
そこは田園都市線上にある藤が丘という場所で、駅から歩いて15分くらいのところにあった。
その寮は2階建ての新築で、私は1階の102号室。
1Kでバストイレ付(もちろん今度は水洗!)で上下に動く可動ベッドが予め備えてあった。
台所もすべてオール電化で、初めて電気コンロを使ったときは、
「これでホントに料理が出来るのか?!」
と、とても不思議に思ったような気がする。
また母が泊まり込みで2〜3日、引っ越しの手伝いをしに来てくれた。
地元から送り込んだ荷物を母と一緒に解き、足りないものを近くのスーパーなどで買い揃えた。
そして遂に母が地元へ帰ってしまうその日、藤が丘の駅まで見送りに行ったあの何とも言えない気持ちを、今でもはっきり覚えている。
↑画像はお借りしました。
あれから随分経つけれど、きっと藤が丘駅はガラリと変わってしまっただろうなぁ。
ただこんな状況でありながらも唯一心強かったのは、大学時代の演劇サークルの同期たちが、何故かみんな揃って就職のため上京していた。
特にMちゃんとは、たとえ違う会社でも、手紙や自宅の固定電話(あの頃は携帯やスマホがなかったのだ!)で多少は連絡を交わすことが出来たのは救いだった。
そして4月に入った頃、ようやく入寮者みんなで顔を合わせた。
何故か難しい人、苦手な人は不思議なくらいおらず、みんな優しく個性的な人ばかりだった。
今思えば、あの会社がこういう人材を集めたからこその、みんなだったのだと思う。
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