24.入社、そして新人研修
入社してすぐ1週間、横浜の二子玉川園の某施設で、毎日新入社員研修会があった。
そこで、いきなり大きな壁にぶつかった。
それはお昼に出された料理のほとんどが、こってり系、中華系の料理だったのだ。
今なら自作のお弁当を持ち込ませてもらうとか、何か対策を考えるだろうけれど、当時はとてもそういう発想にすら至らなかった。
早くみんなと馴染みたいという一心で、一人浮き立つようなことはなるべく避けたかったのだ。
せっかく前月、教育入院時に指導してもらった食事療法なのに、ご飯などの炭水化物を調整するも、他はほとんどオーバーカロリー。
どこからどう減らせば良いのか、かなり戸惑った。
今ならインスリンをそれなりに随時増やしたり出来るのだけれど、当時はそれはほぼ禁止、難しかった。
私にとってまずは研修以上に、持病をこちらでの生活に上手く馴染ませることが先決だったのに、初っ端から大苦戦だった。
かと言って、研修は研修。
外から見たら普通の健康な新入社員なので、もちろんすべてみんなと一緒に研修を受けた。
中でも、今でも記憶にしっかり残っているのは、ある本のある箇所を丸暗記し、みんなの前で発表するというものだった。
その本とは、経営の神様と呼ばれた松下幸之助の「道をひらく」という本。
↑↓ 画僧はお借りしました。
当時はいきなりかなりの枚数の↑のような文章のコピーを手渡され、そのあまりの量に愕然としたものだ。
実は最初、それらがこの本のコピーだとは知らなかったのだけれど、とにかく内容が今読み返してもすごい。
発刊以来ベストセラーと言われるだけある。
また3分間スピーチと言って、ある課題を渡され、ストップウォッチを持った主任の「用意、スタート!」の合図で、みんなの前で(もちろん発表者は時計を見ずに)即興で3分間スピーチをするという研修もあった。
演劇をやっていたんだから、人前に立つことは慣れているでしょ~なんて言われたけれど、とんでもない!
台詞もないし、それとこれとは全く違いますぅー!と必死で訴えたこと、今でもはっきり覚えている。
他にも社会人としての言葉づかいやマナーなど、一般常識をここぞとばかり叩きこまれたけれど、とにかくこの新入社員研修会は心身ともにかなり厳しく、毎日へとへとになって寮へ帰っていた。
この先、どうなるんだ?!と不安でいっぱいになりつつも、その一方では、同期のみんなとの結束が強くなり、その連帯感のようなものにとても満たされていた。
特に寮のみんなとはまだ上京して間もないのに、この一週間であっという間にずいぶん仲良くなっていった。
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