25.総務部
入社後、早速配属された部署は総務部だった。
ただ配属してしばらく経ってから、常務から直接呼び出され、言われたことがあった。
それは、実は私は性格的には営業向きだと言うこと。
そして今はまだ東京に来て間もない上、寮で一人暮らし。
その上、病気をコントロールして行かなければならない。
なので一年目は、とにかく今の生活に慣れることが、私の一番の仕事だと。
やがて慣れたら営業部へ異動してもらおうと思っている、とのことだった。
そう言われた時、とても嬉しかった。
面接のとき、すべてをさらけ出して本当に良かったと。
また、入社時に特別希望の部署はなかったのにもかかわらず、私の性格上の適正をしっかり観て頂きながらも、現時点での持病を含めた自分の状態をしっかり見守って頂いていると思ったら、本当に感謝の気持ちでいっぱいになった。
元々この入社した会社は、美容品をエステティックや美容室に卸す事業が本業で、そこからその美容品を扱う人たちの人材育成や教育事業、また美容業界の広告代理店など、多岐にわたった複合事業をしていた。
なので配属された総務部は、それぞれの部門の営業や教育スタッフと必然的に関わりを持つことになり、会社全体の仕事を見渡せて、とてもおもしろかった。
そこで私は主に、営業マンが売り上げた美容品を集計し、それをまるで昔あったブラウン管の大型テレビのような端末(パソコンがまだなかった時代だったので)に打ち込むという一連の作業の一部を担った。
他には受付やお茶くみ、また営業マンの売り上げ報告の電話受付など、総務だけに種々様々。
先に受けた新入社員研修を、まさに今ここで実践する、そんな日々を過ごした。
その後何度か転職したけれど、新社会人としての新入社員時代というのは、すべてが初体験。
来客にお茶を出す手が震えたり、電話応対一つとっても、すべてがフレッシュ。
そんな時代を、あの会社で過ごすごとが出来たこと、本当に良かったと思う。
また先の常務から言われた会社側のお心遣いもあって、特に同じ部署の皆さんには持病のことでいろいろ配慮して頂いた。
総務部の皆さんも、重ねて同じフロアーの経理部の人たちも、本当にみんなとても優しかった。
今考えても、恵まれた環境だったなぁと心から思う。
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