41.音楽療法
楽譜係の仕事で、毎月2~3回販売促進のため、何らかのイベントを企画した。
例えばクリスマスが近づくとクリスマスにちなんだ楽譜を、入学・卒業シーズンが近づくとそれらにちなんだ楽譜を、またその時々で流行っている曲についても、CDやプロモーションビデオも一緒に流しながら展開した。
これらのイベントを通じて、音楽がいかに日常生活に溶け込み、特に音楽好きな人にとっては欠かせないものなのかを実感した。
さて、そんな数々のイベントの中で一番心に残っているのが「音楽療法」だった。
少し小難しいけれど「音楽療法」とは、
「音楽を聞いたり演奏したりする際の生理的・心理的・社会的な効果を応用して、心身の健康の回復、向上をはかる事を目的とする、健康法ないし代替医療、あるいは補完医療。
歌唱や演奏を行う能動的音楽療法と、音楽を聴くなどの受動的音楽療法の2つに分かれる。」(Wikipediaより)
とあるが、元々子どもの頃エレクトーンを習っていたり、音楽を聴くことが大好きだったので、その効用については、改めてこの言葉を知るまでもなかった。
辛かったとき、悲しかったときに思わず聴いてしまう曲が、これまでも、そして今でもある。
思えばそういう体験そのものが音楽療法なのかもしれない。
まずクラッシック音楽。
音楽療法で一番多く取り上げられていたジャンルだった。
一般的に高周波数の音には、リラクゼーション作用があると言われていて、クラシック音楽(特にモーツアルトの曲)にはそういう音が含まれた音楽が数多くあるらしい。
(と言いつつ、実は私はモーツァルトよりもショパンやドビュッシー、バレエ音楽のチャイコフスキーが好きだったりするのだが。)
☆Debussy/月の光…は特に好き!
次に1/fゆらぎという、エコー音のような少しぶれたような響きの音。
これは小川のせせらぎや波の音のような、自然の音に多く含まれているらしい。
日常なかなか自然に触れる機会が少ない人たちのために、敢えてそういう自然の音を集めた曲集もたくさん出ていた。
☆Virginia Astley / Morning: From Gardens Where We Feel Secure (1983) UK
…マイナーだけど、大好きなアルバムの中の1曲
他に当時で言う「ニューエイジミュージック」から今で言う「ヒーリングミュージック」までいろいろなジャンルで心安らぐ音楽、元気が出る音楽が紹介されていた。
☆坂本龍一/energy flow
かつてビタミン剤のCMでも流れていた教授の曲。懐かしい…。
疲れているときや気分が浮かないときには、無理に明るく元気な音楽ではなく、あえて同調するような音楽を聴くと良いと知ったのもこの頃。
このようにたくさんの様々な音楽に触れながら、最終的に音楽療法としての音楽が目指すところは、みんな同じ。
聴くこと(演奏すること)で、身も心も元気になるということが一番の目的なんだと思う。
当時私は、持病の自己管理に行き詰まりを感じながら、常に出口のないストレスを一人溜め込んでいた。
そんな時、いつも音楽がそばにあった。
たとえそれがわずかな時間であっても、私にとっては唯一心安らぐひと時だったのだ。
実際、重篤な病気に罹った方や心に障害のある患者さんなど、この音楽療法はとても有効的という科学的な結果も出ている。
音楽ってすごい!
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